昨日も書きましたが、ヤクルト高津臣吾監督が契約を更新して、さらに2年(2024年シーズンまで)となったようです。
今日はそれを少し掘り下げてみようと思います。
正直、ここまでの内容や結果を見れば至極当然のこととも思います。
いわば延長要請しない理由がありません。
昨年の日本一という大きな結果もありますが、
1.先を見据えた育成
2.各選手の特徴を考えて新たな面を引き出し活躍の場を広げる再発見
3.選手が長く活躍できる環境を提供する起用法
など問題となるところがありません。
何よりすべてのことが一過性の勝ちにこだわらない姿勢、先々を見据えた言い換えれば「常勝チーム作り」を目指している点があります。
得てして一時の勝ちにこだわって、新たな戦力育成を棚上げ、無理な起用で戦力を使い切ってしまうことがありますが、これでは良い指揮者とは言えません。
ある意味、評価はそれ(使い切り)以降の状態によります。
よく言われることですが、日本、メジャー、台湾、韓国、独立リーグと様々な経験の豊かさが源泉と思います。
選手の育成や、選手を消耗品(言葉は悪いですが)と考えない姿勢などと相まって、何より信念は曲げないぶれない我慢強さを非常に感じます。
試合中どうしてまだこの選手を起用するのかとか、この厳しい局面での抑えはこの投手じゃ無理じゃないのかとか、「だから言わんこっちゃない。。。」などと心中監督の考えが見えずに憤慨したことが幾度も有りました。
しかしその起用の結果、失敗を糧にした投手たちが躍動し、鉄壁の継投陣が出来上がりました。
「この投手に敗戦処理をさせるのか。。。もったいないのだが」と思うくらい、投手レベルが上がり、誰もがセットアッパーになれる集団になりました。
高津監督は継投投手に「今日何回頃に行くから」とあらかじめ伝えることが多いようです。
いつ出番が来るか分からず、常に肩作りをし続けるという負担を軽くし、投手生命が長くなるような環境作りをしているのだと思います。
高津監督と伊藤コーチが話し合って、このように進めているのだと思いますが、名将と参謀の関係が良いこと、目指すものが同じことが可能にしているとも言えます。
先を見据えた育成に関しては、小川GMが監督時代からやってきたことではありました。
村上宗隆選手が良い例と思います。
あの頃高津監督は二軍監督で、一年間村上選手をよく鍛え一軍に送り出しました。
一軍に入ってからは、幾度三振をし何試合も打てなくても使い続け、新人王を獲るところまで持っていきました。
生え抜き不動の4番村神様は、こうして作られました。
今年に関しても、長岡、内山選手の起用にそれが見えます。
当初守備が不安定で、バントも下手で。。。の長岡秀樹選手がいまではどうでしょう。
守備力が上がり、現時点で遊撃手では3位の.9793です。
犠打も8本で、堂々の3位に付けています。
シーズン開幕から全試合を出ていると思いますが、シーズン終了を待たず先輩たちを押しのけレギュラーポジションを掴んだと言えるようになっているのではと思います。
打撃に関してはミートの上手さを感じます。
チャンスに強く打点も多いです。
あとは選球眼を養いファールで粘って四球を選べるようになると更に良いと思いますが、これとてシーズン終盤にはできるようになりそうです。
内山壮真選手の起用も育成力を感じます。
絶対的正捕手27番の中村悠平捕手が戻ってからも、カードで1試合は内山選手を起用し続けています。
そのチャンスを見事自分のものにして、5月2/3まで1割台だった打率は現在.230、また驚くべきは盗塁阻止力です。
交流戦でも幾度も阻止して投手を助けました。
外れたのか意図的なのか、このポイントにくればタッチ可能な場所に送球します。
古田臨時コーチの教えかもしれません。
捕手としても、打者としても急成長している印象です。
塩見選手、山崎選手の起用や、外国人選手の起用にも、先々を考えながらの影が見えてきます。
ベテランと若手の融合もそうです。
青木、山田、村上という、その世代ごとのリーダーをうまく使って、チームをまとめ上げています。
また、嶋基宏選手をフリーハンドの位置につけ、実に上手く使っています。
塩見選手などはしっかりと嶋選手に張り付いて、配球特性や狙い玉を聞いているようですし、時々二軍に赴き、一軍に上げる投手たちの実際をチェックしているようにも見えます。
試合で捕手として直接球を受けると、出来上がり具合や長所短所を把握しやすいですから。
高津監督の最初の使命は最下位軍団の立て直しでした。
見事2年目に優勝チームを作り上げ、継続1年目の今季は常勝を目指してスタートです。
将棋の駒を打ち進めるような入念で我慢の采配。
着々と常勝軍団作りへの布石投下中です。
その成果が期待されます。
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