ついに青木宣親選手の引退試合の日がやってきます。
長年のファンです。
23番のユニフォームが球場で見られなくなるのは寂しいのですが、どこかで線引きは必要。
それが今日ということとなりました。
この記事では「私の青木感」を述べて惜別の言葉にしたいと思います。
青木選手をいつごろから気にかけていたのか
青木選手は元阪神・ロッテの鳥谷敬氏と早稲田大学の同学年。
ドラフトの目玉は鳥谷氏で、青木選手はヤクルトの4巡目での指名でした。
実際大学時代、鳥谷選手を視察に来たヤクルトスカウト陣が、足の速いセンターの青木選手に着目して、ドラフト指名に繋がったと言われています。
そんなに注目されて入団したわけではなく、期待度は高くなかったかと思います。
しかし、2年目に大きく躍進します。
イチロー氏以来史上2人目となるシーズン200安打を達成しました。
プロ野球新記録のシーズン169単打を記録するなど、202安打を放って最多安打、打率.344でセ・リーグ首位打者、新人王にも選出されたのです。
小柄ですし、当初あまり期待されていなかったところなど、若松勉氏に似ていると思っています。
若松氏も社会人りして5年目のドラフトでしたから、お世辞にも注目の逸材ではなかったかと思うのですが、「小さな大打者」と言われるまでに成長し、ミスタースワローズとして君臨しました。
青木選手は安打を量産して新人王を取ったのですから、当然ファンの目に付きます。
私自身もすごいと思い、それがファンになったきっかけのように記憶しています。
そのミート力が、新人によくある「その年だけ」の一過性のものではありませんでした。
それ以来毎年のように3割以上を打ち、MLBに移籍するまでは2008年を除きほぼ全試合に出場しています。
あの体でそこまでできたのは、努力の積み重ねと体の管理が徹底していたからではと思います。
青木選手で印象に残っていること
NPBで1929本、MLBで779本と、素晴らしい安打数を重ねました。
- NPBでの打撃では
- 首位打者:3回(2005年、2007年、2010年)
- 盗塁王:1回(2006年)
- 最高出塁率:2回(2007年、2009年)
- 最多安打:2回(2005年、2006年)
となっています。
ですので、どのプレーがと言っても「よくきれいに打っていた」イメージしかありません。
ただ、とにかく死球をよく受けていたという印象があります。
上の画像は2023年7月26日、広島戦で栗林投手の154㎞直球をまともに頭に当ててしまった時のものですが、それ以外にも何度も当たっています。
ところが、頭に死球を食らっても次又出てくる・・・先の試合でも次の日、ベンチ入りこそしませんでしたが、打撃練習に姿を現しウォーミングアップ。
しかも、避けようと体を引かない。
先の試合2日後には逆転3ランを打って。1000得点の記録を出しました。
これはよほど気持ちが強くなければできないことと思っています。
1打席1打席に真剣に立ち、手を抜いたプレーをしない。
頭部死球にさえひるまず、次打席でも体を引かない。
誰にでもできることではありませんし、やってはいけない選手もいると思いますが、精神力と体のメンテナンス力が並外れているのだとも思います。
青木選手を一言でいうと
お手本 だと思います。
打撃技術はもちろんですが、トータルで「今のプロ野球の人間はこうあるべき」を示していると思います。
青木選手の存在とスワローズ
野球だけできればいいという考え方は過去のこととし、「今のプロ野球の人間はこうあるべき」を教えられる存在と感じています。
実績がない人に言われても、ただの説教ととらえて真剣に聞かない場合もあるのでしょうが、青木選手の場合は、その人柄もあり、尊い教えとして若い選手がしっかり聞いています。
青木チルドレンは、青木イズムの継承者であり、今後もスワローズを支えていく存在になることと思います。
特に村上宗隆選手。
新人の頃からベンチでよく叱られ、褒められ、タイトルを取るとご褒美にスーツを作ってもらっていました。
大打者となり、もうスーツは何百着も買えるのにも関わらず、「青木さんにスーツをもらいたい」と言っていたことを思い出します。
特別なものなのだと思います。
村上選手を育てた影の功労者は青木選手と言っても過言ではありません。
青木選手は人への対応がしっかりしていて、媚びることや忖度をすることは良しとしない部分があるように思います。
若手が本当の意味で成長するように、時に厳しく、時に優しく接する、かけがえのない存在でした。
青木選手に贈る言葉
「最後にこれだけ打つんだから、もう少しやれるんじゃない?」を贈ります。
辞めると吹っ切れたから打てたのでしょうか?
誰にも引き際がありますが、ズルズルしない辞め方は難しいと感じています。
すっぱり辞められる人は少なく、下り坂になっても続ける人の方が多いと思います。
引退会見で、「自分が思ったようなパフォーマンスをファンに見せることができないというのが、一番の理由です。」と述べていました。
自身の信念や美学を感じる言葉です。
青木選手のパフォーマンスのレベルは非常に高いので、一般の選手では「まだまだ」と思える内容でも、もどかしかったのだと推測します。
「最後にこれだけ打つんだから、もう少しやれるんじゃない?」を贈りましたが、「これだけ」の打撃では足りないのでしょう。
長年、お疲れ様でした。
ありがとうございました。
青木選手の今後
最終的にヤクルトの監督に就任するかと思います。
ただ、いきなりなるのではなく、ステップを踏むのではないかと思います。
打撃コーチや二軍監督などを経て経験を積んでから監督になる方が、自身にとっても良いのかなと思っています。
その後フロントもあるかもしれませんね。
いずれにしても、何らかの形で球界にかかわってほしいと願っています。
今日の引退試合、チーム一丸で広島に当たります。
「青木さんのために勝つ」
どの選手も口々に答えています。
神宮では「1番・センター」でスタメン起用されるようです。
これは2018年4月22日のDeNA戦以来、2355日ぶりと報道されていました。
青木選手の「定位置」と打撃を、目に焼き付けたいと思います。
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